おなじハルはない
- shibata racing
- 3月19日
- 読了時間: 5分
更新日:3月24日
いよいよ春のお彼岸です。またまた里でも雪が降り、季節は足踏みです。しかし確実にハルはやってきますので、まさしく春に向けて、桜の便りを追いかけてまいりましょう。

2025年3月19日
うちの入り口の枝垂れ梅が咲くと、今年も本格的な春がやってくるサインです。
いつもここから雪崩のように、各地の桜前線も北上し始めるのです。
こうなると、今年こそ皆様にも最高の桜の風景を見つけるツーリングに出ていただきたいものですね。
大きなお世話で、「言われなくても行くわ。」と言われそうですが。
私の経験上、おなじ春は二度とやってきません。
この季節くらい毎年表情が違うのは、四季を通じても一番でしょう。
そうなると、当然皆様も、電話で写真を撮りますよね。
最近の電話の写真性能には、正直舌を巻きます。
「お前持ってねえだろう」って?
ただ家族は全員持ってますから、横で撮影しているのを覗き込むとビックリ。
適当に撮ってる割には、綺麗なんですよね。
特に驚くのは、動画性能です。これも適当に手持ち撮影しているのに、全くブレちゃぁいない。
私が普段動画を撮るのに、どれだけ苦労しているか?一緒に現場に行ったことがある方には分かるでしょう。
手ブレしないっていうのは、近年の最高水準の技術革新に違いありません。
そんな素晴らしい機材をお持ちの皆様に、ここで私からちょっとした桜を撮るときのヒントを差し上げます。有料級。

上の写真は、光を正面にして、花の裏から撮影したものです。
こうすると花弁が光で透き通って、綺麗に見えます。これを逆光撮影といいます。
太陽を背にして、セオリー通り撮影すると、ビシッと輪郭が出ますが、花が硬く黒ずんだ印象になります。
最初の梅の写真は、まさしく順光。太陽を背に受けて正面から撮影している絵です。
これも表現としてはアリで。
いわゆる逆光テクニックは、新緑や紅葉の時にも使えますから、意識して、一味違う写真を手に入れてみてください。
私の動画で、やたら葉っぱが光っていたりするときは、必ずこういう撮影をしています。要は光の向きをよむのです。
もう一つは、やはり距離です。
かつてロバートキャパは言いました。「良い写真が撮れないなら、それは近づき方が足りないせいだ」
これは一理ありますが、私はそれが全てとは思いません。
まず大切なのは、自分が良いと思った見え方を大切にしてください。そのときの距離感です。
ものは近づくとディホルメされ、どんどんイメージと違ってくる場合があります。
特に電話は広角レンズですので、これがより強調され、人の顔なら頭でっかちになります。
このとき、皆様が綺麗とか、良い。と思った見え方の距離のまま撮影すれば、そのままを持ち帰ることができます。
それこそが個性であり、撮影者の眼なのに。
なんでも画面いっぱいに入れようと寄っていくから、「なんかちがう」になるのです。
時として構図よりも大切です。
特に桜の場合注意したいのは、被写界深度ですね。
これはなんのことかというならば、背景がどれだけボケるかという意味です。
今はなんでもボケ重視。背景ぼかすモードまで電話に搭載されていますが。
このボケのレベルも、自分でコントロールしたいものです。
どこまでピントを合わせるのか?です。
基本は近寄れば、背景ばボケて、離れるとボケは減少する。と覚えてください。望遠では遠くてもボケますが。
こういうコントロールは実は電話では大変難しいですから、大体皆様適当に撮ります。
これが、「なんかつまんねえな」になり。「写真はまぁいっか」となるのです。
そして最も大切なこと。これはイソベさんから教え込まれたことですが。
「いいかいシバタ君。ハッとしたらそのとき撮らなきゃぁダメだよ。帰りでいいやはダメ。光は変わるからね。
Uターンしてでも、いま撮るんだよ」
そしてもうひとつの教えは。
「写真は段取り8分、偶然はないんだよ」これは深いですね。
その意味は。いつ、どんな天気に、何処へ行くのか?その時点で写真の仕上がりは出来上がっているもの、あとはそこへ行ってシャッターを押すだけ。という意味です。つまりは何を狙っているのかということ。
例えば、アキ.カウリスマキや小栗康平さんの映画などを注意して見てください。
背景なんか絶対ぼかさない。完全に背景まで作り込んで、絵画のように全てにピントが合っています。
これはスタンリーキューブリックなどもそうで。当然仕上がりまで計算に入っています。
ボケで誤魔化してるのは、最近の日本の若手監督とユーチューバーくらいです。
あとCM。みんなブルーバックだから。なのに広告会社はすごい予算計上している。ったく安いことやってるね。
仲間内でツーリングするとき、カメラを持ってくる方というのは、私以外ではたった一人です。
そのとき、うつるんですとか持ってくる、なんてことは今となっては皆無です。
写真に金をかけなくなって、どんどん写真がつまらなくなっている現状も無視できないでしょう。
でもね、一生に一回ですよ。おなじ春は二度と来ません。
それが写真を50年撮り続けている私の経験から導き出された答えですね。まさに命懸けですよ。
今年はどうですかね、カメラマンが一人くらい増えますか?
皆様に良い春を。今年はどこに行きましょうかね。
ほとんど関係ない話ですが、fujiフィルムがまたまた新製品を発表しました。
一億画素の最小サイズ。いよいよ何処へ行くのかカメラ業界。