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百臼ありて候
さて珈琲の話になる。 皆様は、あれが私たちの喉元を通過するために、たいそうな人の力が加わっていると考えたことがあるだろうか? もとを辿れば6世紀ごろ、アラブの羊飼いカルディが、修道士に話したことがきっかけだ。 昨晩からうちの山羊が興奮して夜も元気で、困ります。 ほうほう。して、その山羊は何か変わったものでも食した形跡はないか?それがどうも、何やら赤い木の実をムシャムシャと。 なになにコレがその木の実であるのか? 興味津々の修道士がその実を煎じて飲んだレバ、ああら不思議、目はパッチリ、眠気は吹っ飛び、神を讃えるお言葉もスラスラと。 というのが、コーヒーの木の発見と言われている。ことの真意はわからない。 まずは木を植える。そこは珈琲ベルトといわれる赤道の上下25度の地域が基本となる。 どこも平地とは限らないから、高地にも植える。すると昼夜の寒暖差で、なにやらその実が、平地のものとは異なる生育を見せたりもする。乾燥した大地もあれば、雨が多い地域もある。 その収穫した実を乾かさないと、コーヒーの生豆は出来ないから、地域ごとに乾燥方法が考案される。...

shibata racing
4 時間前読了時間: 4分


先生というときに
学校の先生や医者というものが、人生で最初に出会う先生たちだろう。しかし、真に先生と呼びたくなる方々というのは、心から信頼して、尊敬するような行いを見せてくれる人たちの事だと思う。 医者や学校の先生は、大学を出ると、その瞬間から先生と呼ばれ、そう呼ばれないことが非日常になる。 一方、本当の意味での先生は、長く研鑽と苦労を重ねている姿に、心打たれて、頼まれてもいないのに先生と呼びたくなってしまったりする。しかし、彼らはほとんどもうこの世にはいない。 私にとっての旅の先生は、三人いる。岡本太郎と、司馬遼太郎。そして、つげ義春だ。 私の旅なんていうのは、多分にこの方々の影響によるところが大きく、いまだに自らの意思で旅をしたことなんて数えるほどだなと思える。 先日、つげさんがいよいよ亡くなって、ある書店にはつげコーナーが設置された。 結構新刊のような装いで、新しい帯がついて平積みされている。 書店のひとコーナーにつげさんが並ぶ。なんていう光景を一番恥ずかしく感じているのはつげさん本人だろう。 この方は、水木さんのアシスタントだったことがあり、その時、水木さ

shibata racing
1 日前読了時間: 6分


奴隷訓
社会の奴隷にならないほうが良いんじゃないか。 という本を出したのは、作家の田中慎弥さん。小説ではないコラム要素の本なので、私は立ち読みをして読み切った。 彼がここでいうのは、仕事が君で、君は仕事でできているわけでは無いだろう? という漠然とした現代の呪縛に対する脱却の詩だった。 日本人の美徳は勤勉さであり、成功報酬が自らの価値であるかのような社会構造がある。 人生が仕事なのか、それが人生なのかもはやわからなくなっている人たちが多い世の中で、毎日苦しんで仕事に向かうのはいっその事 やめてみてもいんじゃ無いだろうか。と田中さんは提案している。本当にそれほど働く必要があるのだろうか? この方は作家で、自分はモノを書いて生きているので、社会の中で働いたことがないからそういうわけじゃなくて、実はやめてみたら、本来の自分を見つけられる可能性もあるかもしれない。と綴る。 皆様の中に潜む別の生き方への可能性を示してくれている。 私と田中さんは、スマホを持っていないという点においてだけ共通点があるが、文章は未だに手書きであるという点では、アナログ度で負けている感じ

shibata racing
3 日前読了時間: 7分


オイルショック
さきのイラン問題に端を発したオイルショックは、なかなかのものだった。 もういよいよタンカーがやって来ないのだなと言う覚悟は決めたし、実際そのような影響は家庭を直撃した。この問題は現在はボヤかされ、どのような状況なのか正直わからない。 報道というものは、あらゆる検閲を受けて我々に知らされるから、末端に来るまでにはたくさんの都合が関連する。日本国の国益に反する報道は真っ先に除外されるのが常である。 では、オイルはどうだっか?この問題は自動車整備業界をまさしく直撃した。オイル交換ができないのである。 ほとんどの国内卸問屋はその窓口を閉め、ECサイトなども軒並み「入荷未定」の表示がなされた。そのタイミングはわずかタッチの差という感じだった。昨日まで注文すれば当たり前に運ばれてきたオイルの箱などが全くなくなって、ギリギリ1っ本まで、とか。これでは全く成り立たない。それは我々のような末端業者は言うに及ばず、大手自動車ディーラーなどにもオイルは入荷されなくなった。 これはエンジンオイルだけではなく、ブレーキオイルやフォークオイルミッションオイルにも及んだから、

shibata racing
8月27日読了時間: 6分


猿でもという勿れ
YouTubeなどで時々無遠慮に表示される「サルでもわかる。なにがし」のようなサムネイルを見ていると虚しさがある。 これはハウツゥーのような語りが多いのだが、あなたはサル並みで、猿はヒト以下だけど、わかるように言ってやる。 てきな奢りが見える。 無論私はこう言うものは一切見ないが、あらわれるだけで気分を害するのは間違いない。 60年代、ジェーン. グドールという、うら若き英国人が、世に出したチンパンジーに関する研究には驚かされる。彼女は一緒に暮らしながら、ゲノムの配列まで調べ上げて、チンパンジーと人間が98パーセントまで同じ生き物であると述べた。 たとえ犬でも、私などは人間と究極まで近いな、と感じるから、この研究には納得する。実は、ゴリラよりも人間の方がチンパンジー寄りなのだそうである。私自身は、むしろチンパンジー寄りな「ヒト」だと感じる。 いつもいう、地球の歴史48億年のわずか50年前に、こういう事実がわかったことなどを考えると。もしかしたらもっと人間に近い動物がいるかも知れないと考えるだけでワクワクする。 しかし、見るからに人間で、同じ言語を

shibata racing
8月21日読了時間: 7分


バイクよん毒
最近よく聞くヨンドク抜きという言葉。コレを行うと体がリセットされるという。 しかし少し調べてみると、結構なにも食べられない。私はこういう極端なことは続かないと考える。 たとえば少し控えるとか、少し取り入れるとか、何事も振れ幅が少ないことが重要だと思う。 グルテンフリーとかって。やっても良いけど現代社会では無理があるヨォ。 たとえばダイエットなどに見られるリバウンドという言葉。 短時間に結果を出そうと躍起になったがための継続性のなさと、その揺り戻しのことを言うらしい。 10年かけて太った人は、10年かけて痩せるようにすれば良いと思うが、多くの人は「いよいよやばい」とギリギリで何事も気がつくから、急に焦る。 オートバイなどにおけるヨンドクなるものがあるだろうかと考えるに。そのほとんどは乗らないことが原因になる。 というなら、バイクにはほとんどイチドクしかないと言うことになるだろう。 まずオートバイを動かさないとなにが起きるか考えると。 オイルが回らないとカラカラになる。コレは再始動するのも弊害があるし、再始動直後油膜が切れている部分には負荷がかかる。

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8月16日読了時間: 5分


シブヤにて
渋谷にもっとも遠い人間です。そもそも、人混みが嫌いな私は、よほどのことがなければ東京へはいきません。 群馬から東京へ行くには、昔ならまずは上野について、山手線に乗り換えて目的地の方向へ行くというのが当たり前で、今のように湘南新宿ラインでいきなり原宿に着くなんてことはなかったので、上野からまさに正反対だったのが渋谷の位置づけだった。 今は、地下鉄などを駆使すれば色々な方向性も模索できるし、首都高まで網羅すれば割合近いのがここだ。 新宿や渋谷は子供にとっては、近づいては行けないところと教えられてきた。それは我々の親の世代にとっては愚連隊の街だったからだろ。 いわゆる感度の高い年齢になってくると、この町で行われているハイセンスな催しや、カルチャーに憧れた。 東急ハンズやタワーレコードというもののために、私も渋谷にはよく行った。 特に渋谷と音楽は切り離せない関係で、文化的なものはここへ行く必要があった。 音楽にも、センターとサブみたいなものがあり、いわゆるポップカルチャーは、ここ渋谷で華が開いた感じがある。ラジオ局が開設されて、ガラス張りの向こうのスタジ

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8月15日読了時間: 5分


グローバルを傍観する
グルーバル社会にいかに対応するか?ということが議論される日本である。 コレはいかにしてこの島国を脱出して、世界で通用する人材を作るのかという問題に帰着する。 では、本当に日本から出る必要があるのかを考えてみる必要があるだろう。 この必然性を議論する前に、君は何をしたいのかを考えなくてはならないだろう。 もし、日本ではないところでしか活躍の場がない物事に身を捧げたいとするならば、一日も早く日本から出て、その目的となる国へいき、そこで活路を開く。 しかし、グローバルを声高に叫ぶ人の多くが、ひとまず日本は出るが、また帰ってくる気満々なので、ややこしくなる。 コレはこの150年の現象にひとつだろう。 いわば英語力を身につけ、いつでも海外で活躍できる活路を求めたとしても、使う場所が日本なら、英語教師になるか、ツアーガイドにでもなるしかないと思う。そしてこの語学というものは使わないと退化してゆく傾向がある。しかも今では人ではなくても良い。 友人でもアメリカ社会にいて、日本に帰ってきた今、どんどん英語が聞き取れなくなってくると嘆く輩がいる。...

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8月5日読了時間: 8分


木の十字架
立原道造のことをいつも考えている。この若き建築家にして稀に見る詩人のことを。 室生犀星の軽井沢別荘に行くと、いつも犀星が腰をかけて庭を眺めていた縁側のすぐ背の畳の上に、犀星の家族が写った写真が置かれている。以前そこには、犀星の家族だけの紹介があったのだが、その一番左の詰襟を着た青年については明記されていなかった。 私はその時そこにいた庭師の方と、ひとしきりこの庭の話をしていた。 この庭師は軽井沢の行政の方が持ち回りで担当するらしく、いつも違う方が庭を穿いている。 あらゆる方面から、犀星やそこにまつわる人々のことのネタ集めをしているので、その日はこの庭での立原道造の話をした。 立原が、ふらりとここへ現れ始めたのは、一高から東大へ進んだ頃だった。 建築学科に席を置き、在学中に辰野金吾賞を二度受賞するほどの英才だったが、室生犀星の詩の世界に憧れていた立原は足繁く、この別荘にやって来た。追分からはバスと汽車で一時間くらいかかる。 庭に入ると、犀星が背を向けて原稿を書いている。 立原は声をかけることなく、庭にある椅子に腰をかけて、居眠りをする。犀星が彼の存

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8月4日読了時間: 6分


島探し
ある程度成功者となって、お金が自由になった時に、若い時からの夢を叶えたいと考えるのは、自然な欲求だろう。 がむしゃらに働いた、子供も育てた、さぁて余裕はできたが、結構歳もとってしまった。 オートバイの世界では、高齢になって免許を取った、こういう初心者のライダーというものが、最近散見される。 言い切れば、バイクライディングというものは特殊な技能であり、いわば鉄棒で大回転するような趣味だと思っても間違いではない。 そこに要求されるのは、まず気持ち。適性。そしてできる限り若い時からの繰り返し。という要素がある。 私などでも、まさしく汗と涙、ケガと弁当は自分持ち、のような経験を経て、今でもなんとか乗れているのだから。 「金でなんでも買えると思うんじゃないよ」 とは、私がこういうお客さんがたに最初に言い放つ言葉で、こう言われた場合、フタ通りに道が分かれる。 「ふざけたバイクや風情がえらそうに」と怒って、二度とうちには来なくなる。 「なにクソォ」と意地になって、何がなんでもモノにしようと躍起になる方々。 このフタ通り、両方ダメだと思う。スキルには時間と経験し

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8月2日読了時間: 4分


ニセモノ
私はビートルズが嫌いだ。これはもう生理的に嫌いだから、好きになりようがない。 ビートルズのレコードは何枚も持ち、何十年も聴いてみた。それがどうにも嫌いなのに、世の中の人々がこのグループを礼賛する。 初めてビートルズを聴いた時、それは中学二年だから、もう彼らが解散してから10年が経とうとしていた。 先輩のイシゾネさんが、文化祭の出し物として、弾き語りでレットイットビーを体育館で歌ったのが初体験だった。この人は私に初めてビートルズを聴かせ、私はイシゾネヤスシの声で、ビートルズを知った。 この人は今でも私に影響を与えているが、不愉快のタネを与えてしまったのもイシゾネ師だった。 彼はその後ギタリストとして名をなし、教則本を出版し私も頂いた。 一度だけ同じステージに立ったが、師が洒落たテンションコードを鳴り響かせるためのマルチエフェクターでおしゃれなフレーズを弾いている横で、師からもらった36cmのJBLが入ったアンプと、自前のフェンダーアンプを並列に2個繋いだ状態で、あらゆるボリュームをフルテンにした私が、レスポールのボディーを叩きながらハウリングを盛大

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7月30日読了時間: 5分


夕涼み
時々来る音楽仲間がいる。 彼はレコードを持ってきてくれたり、音楽の趣味が合う。というか共通言語のようなものが通じるので、お互いに楽なのである。 先日、「俺のほとんどはユーミンでできているなぁ」と呟いたら。絶句して。「ウソでしょう、何言いだすの?」と取り乱された。 いかにも、ジャズからブルースまでのような顔して、歴代のロックを語っている私が、いきなりカミングアウトしたものだから、彼は驚いたわけだ。 「ダメかいユーミンは?」と聞くと「あんなもの誰が聞くか」と吐きすれられてしまった。 まぁ大体うちに来るお客さんはこういう傾向の反応をする。 私が思うに、彼らはユーミンを聴いたことがないのだろうし、今後も聞くつもりもないのだろう。この部分。とても微妙で、歳がわずか一歳違ってもこういう現象が起きるから面白い。 私にとってのユーミンは、「あの日にかえりたい」から始まっている。 小学生の時だったが、当時謎のシンガーソングライターとして、荒井由実はデビューした。そのアンニュイな楽曲は、物憂げで悲しそうだった。なぜそうなのかは子供の私にはわからない。...

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7月29日読了時間: 6分


苦いものでもない
最近驚くことに、お客さんがたのコーヒーに対する反応が良い。 以前から言っているんですけど、当店のシバタコーヒーは無料で提供されているわけです。ただ、この無料には、その後工賃を10万円請求されたりするから、一杯10万円のコーヒーといえるかもしれない。 ただこうなると、出す側にしても、それなりの覚悟でだしているので、当然美味しくなくちゃ渡世の義理がたたないから、私はいつでも真剣で。その時考えられる最高水準と考えるものを飲んでいただくようにしている。 不思議なもので、こういうふうに一杯入魂みたいなものは、必ず相手にも伝わるようで、これを飲む方々が、一様にコーヒーに対する興味が湧くようだ。 まずは浅煎りを出す。 するとまぁみなさんびっくりする「なんですかいったいこれは?」という反応をする。 それもそもはず、多くの一般の方々にとって浅煎りコーヒーというものはほとんど未体験だ。いわば触れる機会がそうそうないわけだから、初めての体験をここでする。 当然拒否反応が起きると思って私は提供するのだけれど。これが不思議なもので、一応に皆様の反応がポジティブだ。これはシ

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7月25日読了時間: 6分


クロノグラフ
ものごとは意識するところからがはじまりだ。 先日、30年使っていたタイメックスがいよいよ終了したようだ。 いくら時に左右されない人生を送っているとはいえ、さすがに時計はあった方が良い。 最近では、陸自に関しても、この時計というものが重要になってきている。何もかもが予約社会だから、車検の受付も、秒単位で始まる。 例えば二、三秒は早くても「時間外です」と表示されて弾かれてしまうから、この世界標準時。的な秒合わせは必須になってしまっている。 できるだけ狂わない時計が欲しいい。というのが近年の切なる私の気がかりでもあった。 この間、昔から憧れのオメガスピードマスターのことを書いたら、急に自分の前に、まるでそっくりな時計が降ったように現れた。 けやきに入っている時計屋さんで、価格は、な、なんと9800円だった。 「これがか?この造り込みでか?」と思えるほどに昨今の時計は安い。 安さを売りにしていたスウォッチなどでも三万円くらいするのにである。当然、中国製造であることなどはこのさい気にかけない。 このクロノグラフというものの、タキメーターに刻まれた数字という

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7月25日読了時間: 3分


オレの街
いったい、いくつアナザースカイがあるんですか? とよく聞かれるほどに、私にはアナザースカイがある。 なかでもとっておきのアナザースカイ。「オレの街」と私が呼んで憚らないのが足利だろう。 足利に初めて行ったのは2007年の夜の事。 初めてのお客さんから、修理の依頼を受けて行ったのがファーストコンタクトだった。 きっかけは、お客さんがカジバミトを欲しいと、近くのディーラーだった当店に電話してきてくれたことからだった。 色々折衝して、どうやらミトを買わないで、手持ちのバイクを治しましょう。という話に決まって、動かないからということで引き取りを頼まれた。 ちょうど春だった、夜に渡瀬川の河川敷通りを通っている時に、左手に明るくライトアップされた山があり、そこは織姫神社という社が中腹に鎮座している足利のシンボルのような場所だった。 山中がもう、桜で。夢のように綺麗だった。 「あぁここは昼間にこなきゃいけないな」と思い。そこから私の足利詣が始まったので、もう20年になる。 私が通うのは、主に旧市街といわれる足利学校を中心にしたエリアで、ここを歩くと、なんだかわ

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7月20日読了時間: 6分


郷愁というもの
心に去来する風景を想う時。胸が痛くなるのはたぶん。もう二度とそこに戻れないからだろう。 過去を学ぶことで未来を創る。なにもわからないから明日は楽しみだが。そこから学びとることはできない。 ヒトはけして過去に戻ることはない。しかし、その時の経験は、必ずしも無駄ではない。 昭和というものが私たちにとってのネイティブであり。その時に子供だった私たち世代は、あらゆる経験を積んだ。 誰にとっても人間形成の時期がもっとも楽しい思い出になる。 毎日学校へ行くと、好まなくても50人のクラスメートがいる。 給食を争っておかわりする同級生。食休みもせずに飛び出して、サッカーやバスケットをやる。放課後も野球などをやる。当然家に帰っても宿題などはせず、夕方ルパン三世の再放送や、ガンバの冒険の本放送を見る。夜も寝ないで深夜ラジオを抱え込んで、小さい音で聴く。 そういうこと全てが、私という一人の人間を形成した。 映画「つぐみ」のことも、一度は整理して書いておかなければならないだろうと思っていた。 つぐみは、小さい頃から体が弱いので、学校へも行けず、軽い運動もできず。海の前に

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7月15日読了時間: 4分


あいてのことを思うとき
遠藤周作ほどエッセイのうまい作家はいないだろう。 このカソリック信者の作家は、体が丈夫では無かった。しかしその、時に力強く、そしてユーモアに溢れた文章は、読み手に力を与えてくれる。 このエッセイ。46年の間、発見されなかった。書いていたのは入院中の頃。これは手紙にまつわるハウツゥーとでもいえるものだ。 重要なのは、常に相手のことを考えること。 手紙をもらった相手がどう考えるか?書き手の心中を押し付けていないか、それは簡潔か。ぐだぐだとナマズのようではないか? なかでも異性に宛てた、いわゆるラブレターの書き方にはかなりのボリュームを割いている。 それは書く側の男の手紙。それをやんわり断る女性の手紙にも言及がなされている。 「こんなこと書かれたら困ります二度と書かないでください」とは書かず「少し両親なども驚いてしまうから、嬉しかったけど、また仲間の関係で挨拶しましょう」などと言えれば、突然刺されたりもしないに違いない。 刺したりする男は絶対ダメだけれど、被害者に落ち度があるとはいわないが、アイドル殺傷などの裏側に、その気にさせたアイドルの、こうした配

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7月9日読了時間: 4分


発狂せるのみ
郷土の偉人という話は聞いたことがあるだろうが、郷土の奇人となると、はなはだ稀な話になる。 少し前のこと。 自民と維新が連立政権を発足した時。維新の会の藤田代表が、記者に向かってこう発言した。 「諸君、狂いたまえ」これは幕末長州藩の吉田松陰が、私塾の生徒に向かって言った言葉とされている。 混乱の世を新しい方向へ導くにあたって、この吉田松陰並みの意識で、政治を行いますよ。とでも言いたかったのだろうが、彼らはその後、狂うほどのことを成したとも思えない。 安倍政権を引き継ぐと宣言した高市自民と、明治維新を意識したネーミングの連立政党が目指すのは、いうまでもなく正調の長州政治とでもいうべきものだろう。 今更ながら、明治維新から150年の間。この日本を引っ張ってきたのはこの形態だ。 では、その意識の根源となった尊皇思想は、一体誰からもたらされたものだったか?ということになると、多くの国民は知らない。 京都三条の橋の袂に、土下座の銅像がある。これは別に謝っているのではなく。御所に向かって挨拶をしているのだ。 この人こそが、松陰寅次郎が心酔していた高山彦九郎とい

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7月7日読了時間: 6分


おめにかからぬからこその
文通というものは素晴らしい。これは同性異性問わず、互いの心を通わせる手段としてこれほど素晴らしいものはないだろう。 現在の若者は、この行為を経験せずにここまで人生を歩まれてきた方々も多いに違いない。 しかし、大昔から人と人がコミュニケーションをとる。まして遠方の友ともなればなおのことだ。 友人との手紙などもそれはそれで楽しいのだが、一度も会ったことのない相手との文通ほどときめくものはない。 そこには想像を張り巡らせる余地がある。これは決して馬鹿にできない感情で、この期待感ほど人を嬉しくさせるものはないのだ。 買い物依存症というものが現代人の病気の代表選手の一つとなっている。 何かを買うと次に買うものの下調べを始める。吟味を尽くした末に、できれば一番安いサイトに辿り着き、一個のものをゲットできた時の嬉しさ。これを楽しんでいる。 買って仕舞えばもうよくて、箱を開けて一度見れば満足、ことによれば、箱すら開けていない。なんて話も聞く。 すぐに次に買うものの物色が始まってしまっていて、箱を開ける暇がないという。 これはオートバイにも当てはまり、買いたい時は

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6月27日読了時間: 6分


ときつぐるヤギ
男は時計にこだわる。それはひとつのアクセサリーとして、ときにみずからの象徴として。 昨今では、時計を持つ人は減り、電話がすべてを受け持っているようである。 運よく、私は時間に縛られない生活をもう30年以上続けさせていただけているため、おおよそわかれば良い。 腹が減ればなんとなく昼。ぐったりするとなぜか三時頃。もう寝るか、となると大体10時頃。みたいな。体内時計がそのほとんどを受け持つ。 ただ、男は、どうにもこういったギアには、憧れを持つようである。 私の憧れの時計は、オメガスピードマスターという。 アポロの飛行士が月面に降り立った時に腕につけていたというもの。汚れた英雄の北野晶夫が、ブルジュアの先輩から、メカニックをやる限り、こういった時間を見るものは必要だろう。と譲り受けたもの。それだが。 いかんせんこの初期型スピードマスターという手巻きのクロノメトリック時計は高価で、200万円とかする。 流石に、そういうものに金を出す気は起きない。私が時計に出せる最高額は、3万円がリミットだ。 その程度のこだわりだということだろう。 もう30年くらい、私の時

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6月21日読了時間: 3分
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