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大社候

  • 執筆者の写真: shibata racing
    shibata racing
  • 7月31日
  • 読了時間: 5分

この夏、皆様のご予定はもうお決まりでしょうか?行楽地はどこへ行っても大渋滞。オマケに猛烈な猛暑と相まって、涼しく空いていて、なんか楽しい。それは神社仏閣巡りというアトラクションです。



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2025年7月31日



あるお客さんからこんな相談がありました。「この夏子供と宿坊を体験するんですけど、ついでに回ってきた方がいい神社とかないですかね?」私が全国の神社仏閣に、多少明るいと思ったようで、ただこういうものは、いわば思想ですから。勧められていくものではなく。ようは呼ばれるものですから。私はこう答えます「まぁ心の赴くまま、ふと通りかかって、引かれるお宮とかがあれば、そこがあなたを呼んでるんですよ」まるで賢者のような答えですが、やはりそれほど、昨今では口コミや、流行などに左右されて、よく意味もわからなく巡るパターンが多いようですね。


縁結び、商売繁盛、交通安全。など。神社というものには何かしらのご利益をうたったものが多いようですね。例えば家の近くの八幡様。これは八幡太郎義家という源氏の武将を祀っています。では東照宮。これはいうまでもなく御神体が徳川家康です。稲荷神社の大元は秦氏という渡来の農耕にまつわる方。狐ではないのか?狐はいわゆる眷属で、御神体はあくまでヒトだったわけです。このように、よく意味もわからずそこに参拝して、お賽銭を入れる。それはそれでいいのです。

こうした神社、大社の中で、日本最古の信仰をご存知でしょうか?伊勢神宮だろう?いやいやそれはわりと新しくて、もっと古くて、意味がよくわからないのに、日本全国にある大社というものがあります。それは諏訪大社。いわゆる御諏訪様ですね。なんか聞いたことある。まあこの神社ほど、実態がよくわからず、謎に満ちた信仰も少ないんです。


諏訪大社の本宮は、上社と下社に別れ、諏訪湖を跨いでその対岸にあります。下社は中山道の途中に、いわば強制立ち寄りのような様相で諏訪湖の上側に存在しますが、なぜか下社です。上社はその対極にあり、ここは、甲州街道沿いにあります。その上の岡谷という場所で、この街道は交わり、そこが天竜川の始まりとなっています。両方行った方は分かると思いますが、この下諏訪と上諏訪では、全くべつの空気感があることを不思議に思ったことはないでしょうか?有名な御柱祭の斜面を横に見ながら、高度を上げて行くとそこは杖突峠。山の反対側は高遠です。この山の名前は、守屋山といいます。


先ほどの御柱祭は、怪我人が多数出るほど危険な祭です。もうひとつ諏訪にとって重要な祭りが、御頭祭でしょう。これについて知っている方は、これを読む中にはまずいないはずなんですが、鹿の頭75等分を神に捧げるという奇祭です。それに先立ち、少年が木に縛られて、神官から短刀で今しも刺される。という儀式の最中に、また別の神官が、「まぁ待て」とその行為を鎮め、その後身代わりとして、鹿が捧げられるのです。しかも守屋山で。

この話を聞いて、ビビッときた方はどれほどいらっしゃるでしょうか?あなたはユダヤ教徒ですね。旧約聖書の中に、アブラハムとイサクの話というものがあり、神への信仰の深さを示すために、アブラハムが最愛の息子の命を神に捧げようとすると、その瞬間、天使が現れて、静止する。という場面。代わりに近くで草に絡まった羊を生贄にする。という有名な話があります。どうですか?先ほどの諏訪大社の祭と、奇妙な符合を感じませんか?その行為が行われた場所は、モリヤの丘という名前です。


ちょっと思い出してみてください。諏訪の上社の背後に聳える山の名前はなんでしたか?守屋山ですよね。そして、大昔から、この催事を司る、最高の位の神官の家というのが、大社の脇にあって、その方の名前は守矢さんていうんですね。何か感じましたか?諏訪の公式のインフォメーションでは、祀ってある神様は、出雲の神様ということになっています。それなのに、公然と当たり前のように続いてきた諏訪のお祭りの奇妙さを思う時。弥生以前、縄文の時代にまで遡る、血の交歓。どうみたって、農耕のお祭りではないですよね。そして奇妙に符合するユダヤとの関わり。守屋山の頂上のモリヤ神社に祀られている御神体は、なんと巨石です。

そしてここが重要なのですが、最古の神社たちの多くは、日本構造線という断層の真上に建っているということです。ユーラーシアプレートとイザナギプレートがぶつかり合って盛り上がった大地の裂け目をあたかも縫いとじるかのように。


つまりは、神社仏閣巡りとは、こういうことですよ。現世の利益を追うのではなく、太古の記憶を辿る側面もふんだんにある。言い換えれば自らのルーツに降りて行く壮大な旅でもあるのです。今後、神社で手を合わせるときは、自分が一体何に祈ってるのかもう一度よく考えてみる必要もあるということです。どうですか、この夏巡る神社は決まりましたか?


もし諏訪の上社に詣でるのなら、ぜひモリヤさんの家の庭にある、守矢資料館というものにもお立ち寄りください。きっとビビッときますよ。このホームページ。作為的なほどなにも語ってないことに気が付きますか。

むしろ「気安く来てくれるな。」といってるような感じすらあります。信仰とは本来そういうものです。

 
 

Appia . meccanica - Shibata ~ Racing

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