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みち標べ

  • 執筆者の写真: shibata racing
    shibata racing
  • 10月18日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月18日


道を教えてくれるものは、その時々で代わります。昔なら道端の道標。散歩しているご婦人。あるときは参謀本部編纂のの大型地図を、又繰り広げてみたり。今ではその多くが、ポケットにある電話です。



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2025年10月18日



その昔、「地図にない場所へ行こうよ」なんて歌詞の歌があったように思うんですが。

現代では、そんな怖いことは誰もしないようですね。みなさん、電話の言いなり。それが指し示すものがすべてだと思っているようなフシがあります。


あるお客さんは、GPS記録装置と、インカムを併用し、耳に語り掛けられる道を、言いなりに走っている。という話を聞きました。

「家に帰ってパソコンひらけば、走った道が全て示されるんですよ」ということらしいですね。

そうか、もはやツーリングですら、思考を辞めているんだな。と感じました。これを予定調和といいます。


「太陽の位置と、風の匂いに誘われて」なんてことをいうと、だいたい笑われて、そんなことできません。といわれます。

本当に、私のツーリングはほとんど、このように行なっていて、なにか、予感がするような道に出会うと、気まぐれにそちらへ向かったりします。こうやって、道を覚えてきましたから。何かのいいなり、衛星に導かれるような旅は、まったく面白いと感じません。


あるお客さんが「山怪ですよ!」といいながらやってきました。話を聞くと、奥さんが子供と、山梨から帰ってくる時、ナビに導かれて、どんどん山奥に入ってしまって、行き止まりになった。という話を聞かされました。「途中で、子供が気を失ったように寝てぇ」と、興奮気味です。

「あぁ山怪だ、そりゃぁあんた山の怪に違いないよ」と私はいいながらも。「ナビなんてのは所詮そんなもんだよ」と感想を述べます。


その道は山梨から、埼玉までの一本道の国道で、そもそも途中で枝分かれするような道では無いんです。そんな電話機などに頼るから、そういうことが起きるわけで。五感を働かせれば、「こりゃぁどうもおかしい」と感じるはずでしょう。まだ車がUターンできただけラッキーでしたよ。

私もこういう道に入ったことがあり、ハスクだったのですが、バイクの向きすら替えられないほど狭くなって、左が崖、右は岩壁。命からガラ、なんとか帰還したわけですが。

そういう道は、道路が苔むして、誰も通った形跡がないとか、なにかしらサインが現れたりするものです。こういうものが気配です。


昨年、西伊豆からの帰り、そういう道に入りました。地図にはあるんですが、とてつもなく心細い。こういう道端で、死体を捨てても、絶対見つからないな。と確信できるような道でした。ベスパでも後戻りはできないレベルの道幅で。リッターバイクだったら嫌ですね。いきなり道がひらけて、そこは牧場で、牛が佇み、遠くで鹿の群れが走っています。霧が少し晴れると下界には戸田の入江が、はるか彼方に......。


岡本太郎はこう言いました「道に迷ったら、暗い方へ行く、誰も通っていない誰もが避ける道の方へ」これがね、なかなかできないんですよ。ただ、これができると、ひらけた時はひとりですから。いわゆる先駆者と呼ばれるんですけど。


まずは、電話は家に置いてくる。太陽と風の匂いに誘われて旅に出てみてください。

人間にはまだそれくらいの直感は残っているもんです。出来ない。と決めてるだけでしょう。

ここまでいっても、誰も電話を置いてきたりしないんですけどね。


任務とはいえ、本当に地図にない道なんかに入っていくと、想像を絶する地獄に通じている場合もあります。

まだ地獄を見たことない方、是非ともI MAXシアターにて、ご覧ください。

 
 

Appia . meccanica - Shibata ~ Racing

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