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ひのもといちの宴

  • 執筆者の写真: shibata racing
    shibata racing
  • 4月7日
  • 読了時間: 6分

更新日:4月22日


新学期初日の平日。世の中の喧騒は、ピークです。そんな時に、私は上田に向かいました。

もくてきは、ひのもといちと謳われる、天下に名高いサクラの宴が、もようされているからです。





2025年4月7日



家を出たのは六時半です。

新学期の月曜日。おそろしく道が混むのは、折り込み済みでした。タッチの差で混雑する市内を抜け、妙義を正面に見ながら、高度を上げます。


いつもの坂本湖についたのは八時でした。

木々の葉も、桜もすべてタッチの差で、早い感じ。おそらくこの何日かで、大きく開きそうな予感がします。

今年はなんだかんだ早いんだなぁ。



時間調整の意味もあり、坂本湖を一周します。

全く枯れ木に覆われたこの場所を散策するのは、初めてかもしれません。

いつも鬱蒼としている遊歩道には光が差し込み、こんなに明るい風景を見るのも、これはこれで貴重でしょう。

碓氷川を堰き止めたこの人口湖。雪解けの水が山の斜面から流れ込み。透明度はいまが年一でしょう。





軽井沢を抜けたのは、通勤ラッシュがちょうど終わって、みなさまが会社に入る頃でした。

この時間は、急に車が減ります。意外とスムーズに、上田城に近づけましたが、やはり物凄い人出です。


南側の駐車場脇は、素晴らしく満開でしたが、城内のお堀は、場所によって、咲いたり、まだだったり。

大手門の前には、真田幸村がお出ましで、観光客と、一緒に写真に収まってくれます。




この幸村さん。本名は信繁というのですが、なぜか幸村になってしまって、そちらの方が皆様には有名で、のちに真田丸で奮戦し、「日の本一のツワモノ」と謳われた方です。


上田城というのは、真田親子がつくったのですが、関ヶ原で豊臣が負けたため、親子は九度山に流されてしまいます。

それ以前、二度にわたって徳川軍を退けたのは、この親子の知略でした。

なんか、サラッと話してますが、この上田合戦の攻防を私が語り出したらながいヨォ。

興味のある方だけ、またの機会に話します。


その後は徳川関連の武将が260年納めます。

真田時代はわずか40年でしたが。地元の方々は、ここを真田の城として、現在地域振興のために盛り立てています。





この場所は、数年前の桜の時期に、お客さんとツーリングできたのですが、その時はすでに終わっていて、とても悔しい思いをしました。

ただその片鱗はわずかに残り、もし満開の時に来たらどんだけ凄いのだろう。という印象を持ちました。


何度も、上田には来ていたのですが、いよいよいこの時が来ました。

まぁ凄いですよ、上田城。

弘前城とはまた別な意味で、日の本一と言ってもいんじゃないでしょうか。


石垣と城郭。そしてお堀。このバランスが絶妙で、桜の種類も豊富です。

やはり寒い地方ですから。花の色は鮮烈で、まだ開きたてですから、ピンクが濃い。


桜ってのはね。一生に一回です。

特に遠い場所の桜は、同じ風景には二度と出会えないものです。

上田に思いを馳せて、はや20年。やっと桜で埋め尽くされたこの場所に来れた感じです。

一期一会のつもりでがっちり見ました。





上田に来たらやはり、刀屋で冷やしたぬき蕎麦は食べなくちゃなりませんが、その前に、柳町に行って、タケダ味噌のお店で、買うものがあります。

ここの柚味噌は、「居酒屋新幹線」というドラマで紹介されていたのですが、何度もいった柳町で、私は味噌を買いそびれていました。


店内に入ると、おかみさんに「ゆず味噌ありますか?」と尋ねます。人気商品のようで、レジ横にありました。

「これ、ドラマで見たんですよ」と私がいうと、間髪を入れず「居酒屋新幹線」と返ってきました。


このドラマは、地方に出張に行くサラリーマンが、食材を買い込み、帰りの新幹線で一人居酒屋を始めるという、孤独のグルメの二番煎じみたいなドラマです。

とは言いながら、私は全話見ていて、この柚味噌がおいしそうで、たまらなかったのです。




店の前の辻は、マイフェバリットの「犬神家の一族」の冒頭シーンの場所ですから、その時のことも聞いてみます。


「市川崑さん、綺麗になりすぎったって、うちの前の道に砂利ひいて、撮影してましたよ。格子は全部閉めてくれといわれて」


まいったよ、これだから。

ワンシーンのために砂利敷いたって。

映画ってのはやっぱスゴイや。脱帽です。


この流れで、蕎麦といきたいところですが、やはり喫茶店の「木の実」さんによって行かないわけはないでしょう。

「こんにちは」と私がドアをくぐると、「お久しぶりです」と返事が。

もう何度も訪ねているこのお店は、お母さんと息子さんで切り盛りしている、上田で60年以上営業している喫茶店です。


上田城の桜の様子と、今年の寒さなど。私と同い年の息子さんと話していると、お母さんが話に混ざってくれます。

この何度か、お目にかかっても元気がなかったお母さんなのですが、とても明るい表情を取り戻しました。

ここ数年は体が本調子ではなく、お客さんとうまく話せなかったと言います。


確かに肌艶も良くて、晴れ晴れとしている印象です。

「主人があの世でもモテてるから、お前はまだそっちにいろって、いわれてるみたいで、まだ頑張れっていうことだと思います」と明るく決意を聞かせてくれました。


「そんな表情見てると、私みたいな小僧は、まだまだ老け込めませんよ」と答えます。

なにせ、私は息子さんと同い年ですから、お母さんがやる気なら、私だって頑張りますよ。

カウンターにある宇野重吉さんの色紙の裏話や、それを見にきた時の寺尾聰さんのお話は、感動しました。

あまり触れ合うことのなかった親子の、実は、心から慕っていたという....。

涙なしでは私も聞いていられませんよ。


いよいよ刀屋ですが。

これはたくさん情報があると思いますので、書かなくてもいいかと思ったのですが、基本情報だけ。

私はいつも冷やしたぬきの「小」を注文します。これでも普通の量で、山菜天ぷらが、がっちりのります。

後から来た観光客らしきお客さんが「もりそば大盛り」と注文します。

すると店の方の口上が間髪を入れずに入ります。

「大盛りはせいろ4枚分、1キロ弱あります。よろしいですか」すると大体のお客さんはたじろいで

「じゃぁ、ぁ。普通盛りで....。」とトーンダウンするのがいつもの風景です。それでも三百グラムあります。

「小にしとけば良かった」と大体後悔します。値段は800円前後です。

蕎麦ってこういう値段じゃなきゃ通えませんよね。勘違いしている店は全国的に多いですね。


出は、平均、注文してから五分以内です。早い安い旨い。だからいつも満席、外の待ちは10人です。

回転率は早く。誰も食べ終わってまったりしている客はいません。「すぐ外に出る」が、暗黙のルールです。

日曜定休です。


上田は、行く度に私に力をくれる街です。今年も何度もいきますよ。


ここも「俺の街」に決定です 。



上田の素晴らしいところは、文化を積極的に発信しているところでしょう。

うえだ城下映画祭というものがあって、新人の登竜門です。この映画は見てみたいんだよね。




 
 

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