コトノハの朝には
- shibata racing
- 7月20日
- 読了時間: 3分
私が軽井沢で暮らしはじめてもう随分経ちますが、連日灼熱が続く都会とは異なり、朝夕には霧が立ち、湿気帯びた空気の中、小道を縁取る石垣にもみっしりと苔におおわれております。

2025年7月20日
こういう季節にモーターサイクルを楽しもうとするなら、ナイトランを行うか。深夜ランで、ほどよくライダーの熱った体も冷やし、一挙両得を狙うほかないでしょう。
3時ジャストに、中軽井沢から、浅間に向けて高度を上げます。モヤのような霧のようなものがうっすらと大気を湿らせますが、エンジンは快調です。
いきなり道端で、カモシカに会いました。その先少し登ったところでは、鹿の群れが道を横切ります。この日は、4回ほど鹿と遭遇しましたが、自転車での遭遇とは違い、こちらのエンジン音が主張して、鹿たちも、出合頭の衝突を避けることができるようです。
鬼押しハイランダーに入ってみたら、グランピングの施設ができていて、駐車場で車中泊をする方々が、大勢いました。夏休みなんだなと、現実に引き戻されました。
真っ黒な浅間山の反対には三日月が出て、星が綺麗です。西の下界から太陽が現れる気配が。しばし、道にバイクを止め、その山肌が、朝日に照らされるのを待ちます。
下界より五度以上低い気温は、長袖の上にウインドブレーカーを羽織った程度では寒いです。明るくなるまでこのハイランダーを何度か往復して、浅間牧場に降ります。うねる道は、朝霧でドラマチックに下降します。まだ誰も来ない白糸の滝に行ってみましょうか。
ギリギリ明るくなっていますが、深い森に遮られて、朝日は高い梢の上の方だけを照らしています。近年、朝でも近づけないこの場所も、まだ、誰も来ていないようです。
滝まで登ると、一人だけカメラマンの方が、三脚を立ててスローシャッターを切る横で、私は滝を動画で撮ります。
「写真と動画。」論争みたいなものがあり。本気で写真をする方は、動画撮影は避ける傾向があるようですね。動画はある意味写真の連続で、その場の音まで録れますから。私なんかは適材適所。写真は写真で、一瞬を止める芸術だと思ってますが。
杉本博司なんかは、「この写真には映画二時間分が写し込められている。」とかいいますが。写真はやはり一瞬を止めるもんだと私は考えます。
シグマのレンズプロモーションの家族を撮るカメラマンさん。私は一枚たりとも、この写真たちに敵いませんでした。
修行しなおします。
まだ時間が早いですから、室生犀星の庭は、開門されていませんが。「一年で一番良い」と、毎日この庭と対峙している庭師の方がいう、この梅雨明け直後の苔を見たくて仕方がありませんでした。
低い門から中を覗くと、木戸がぴっしりと閉められて、寝静まったこの場所と対面できます。まだ朝日が差し込んでいなくて、苔はわずかな朝露に覆われて、新鮮な果物のようです。
近くの小道を縁取る石垣にもびっしりと苔が繁茂して、この季節の湿気と、朝晩の寒暖差が、自然の彩りを見せてくれます。
そろそろみなさんが起きはじめて、大型犬が朝の散歩に出てきています。
では、私もここから60kmほど下界の、軽井沢六供町に帰還しましょうか。
こちらが本日の、私の「美しい村」です。