トップコンペティション
- shibata racing

- 10月23日
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トッププロが行う真剣な競争は、やはり感動を呼び覚まします。10月は、宇都宮ジャパンカップ。前橋寛仁親王牌。そして当店のイベント、ツールドムーンも、ひっそりと開催されました。

2025年10月23日
先週は、宇都宮の恒例行事、ジャパンカップロードレースが行われ、世界のトッププロの異次元の競争が、日本国内で行われ、ヴェルタやツールで、リーダージャージを着用した若手のレニーマルチネスの再三のアタックに、目が覚めるように痺れたばかりでしたが。
それから一週間。前橋では3年ぶりとなる競輪G1レースの寛仁親王牌が、本日より始まりました。
いつも私が行くのは初日。定休日ということもありますが、最終レースの理事長杯が、お目当てです。
このレースのメンバーは、ほとんどグランプリのメンバーで構成されていて、年末のグランプリを占う意味において、もっともホットな戦いが毎年のように繰り広げられます。
なぜか、初日の平日に。前橋ウイッチーズのイベントまで繰り込まれ、グリーンドームのセンターステージに近づくと、見たこともないような、若者。というかオッサン?系の人だかりが。
もうすぐ、ウイッチーズのセカンドステージが始まります。何やら物々しいほどの熱気。
コレを読む方々に、アイドルのことに興味がある方もいないでしょうが、軽く説明すると。
前橋を盛り上げるために、アイドルアニメが放送されて、その声優さんたちが、歌い踊るグループがコレです。なかなかコアなファンが多くて、おまけにセキュリティーは強固で、カメラ、ビデオは向けられません。なんだか警備がやたら怖いこわいんだけど。

バンクにもその後姿を現したのですが、遠い遠い。なんだろね。そんなに写真撮っちゃダメなわけ?まぁ良いんだけどね。
10レースから席に着いたら、隣の席に相当お年寄りのファンが。
「寺崎から買うんですか?」と予想新聞を覗き込んだ私が話しかけると。「いやぁさよくわかんねんだけど、どうだい」
「他にも松井がいるでしょう。犬伏っていうのが、やっぱり先行選手なんですよ」「ほぉ犬伏かぁ」
と、車券を買いもしないくせに、予想屋並にやたら詳しい私の話に、真剣な眼差しで聞き入ってくれます。
すると後ろの方から、岸和田並みのダミ声の野次が飛びます。
隣のお父さんは、「こうでなくちゃぁ、コレだから現場にこなきゃぁダメだよな」と嬉しそうです。
この競輪場っていうのは、初めて来た方は面食らうほど、がらっぱちです。それがまた味なんですけどね。こういう場末の人情がまだ残っているっていうのは、やはり公営ギャンブル場の面白いところですね。人間くさいですよ。

いよいよ最終レース。紫色の9番車。定位置から我らがワッキーの登場です。
いつもの祈りのようなスタート前のルーティーン。目の前のワッキー。「なかなか仕上がってる雰囲気です」集中力上がってますね。
レースは最終局面で、最後尾の八番手で、ホームストレートを通過です。
330バンクの前橋は、この位置からの捲りは、距離が足らないのですが。そこはワッキー、裏ストレートで、矢のような捲り。全車ごぼうぬきで、第2センターへ。
最後は2車身ほど離してゴールです。いやぁ圧巻。
なんだか5年前のオリンピックイヤーの頃のワッキーを見るようでした。

近年落車の影響から、重度の腰痛に悩まされ、引退すら囁かれたのですが、今節は調子を上げてきている感じがします。
こんな走りが、あと何回見られるのか?体もギリギリですから。無理せず頑張って欲しいものです。
表彰式の時のワッキーは、深く目を閉じ、やりきったような安堵の表情でしたが。その裏では痛みに耐えているようにも見えました。
彼はいつでも真摯に、ファンに感謝の言葉を述べ、選手の鑑のような誠実な受け答えをします。
現在、日本最高の競輪選手。脇本雄太に幸あれ。



