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咲けばいいだろうね

  • 執筆者の写真: shibata racing
    shibata racing
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

この言葉。私はみなさまを喜ばせようと意気揚々と桜の名所に案内します。するとだいたい、少し早いわけです。

そりゃあ咲けば綺麗だろうね。と何度も言われた経験があります。こればかりはね。





2025年4月26日



基本、大体がお節介なんですよね。

自分が感動した景色を、一人でも多くの仲間に味わってほしい。というのは綺麗事抜きで、私の性分なのですが。

それに巻き込まれた方々は、大変です。


高遠小彼岸桜は、私が色々見てきた桜の中でも、唯一無二の美しさを持っています。

まず小ぶりで、可憐で薄ピンク。寒暖差の影響で、里の桜とは異次元の鮮烈さで、訴えかけてくるのですが。

何せ、ここへはおいそれとは近づけません。



少なくとも朝五時には、ここについていないと、もうバイクでも近づけませんから。

いわば、そういう時間に前橋を出る必要があります。当然、極寒の夜中に出るわけですが。目指すは150kmの彼方です。

その頃の夜の気温は、2度くらいで。しかも高速でしか行けないくらい、山は凍結していますから、その時の体感温度は遥かにマイナスです。さみいたって只事ではありません。




その前年。

やはり一人でここへ行き。まさにドンピシャの満開を味わった私は、翌年は仲間を巻き込みます。

こんな狂ったことに平気で付き合ってくれるのは、数人ですが。この数人が、また私以上に狂ってますから。

気が楽です。


ただこの年は、微妙に早かった。

南側は、まさにその朝開花した。感じでしたが。

山城特有の空堀の斜面に織りなす小彼岸桜のコントラストは、あと一日後。という印象です。





「どうですか?」と私が聞くと。「うーんすごい。多分ひらけば綺麗だろうね」


この言葉、いつも私が聞くセリフです。

勢い込んで家族なども連れて行くと、かなりの確率で、早いことが多くて

「咲いてる時に連れてきてほしい」なんていつも言われています。


なかなかね。むずかしんだよ。桜ってのはね。



世間が動き始める前に。

「よしわかった、これが高遠だ」とメンバーを強引に納得させて、逃げ道は南アルプス林道を越えて、白州へと逃れます。

このルートが唯一無二の、「高遠退き口」とでも言えるものです。このために全員ハスクです。


林道に入ると、猛烈な吹雪です。

視界はほぼなくてホワイトアウト。私は先頭を行きますが、メンバー二人も全く手綱を緩める気配がありません。

いよいよ引き返すのかな。と考え始めた矢先。雪は止んで、日が差し込んできました。


先ほどの吹雪が、木々の枝に凍りつき。見事な霧氷状態です。



こういう景色に一度でも出会ってしまうと。

「悪天候へむかえ、その先にはドラマチックな風景が待っている」というナショナルジオグラフィックのカメラマンの言葉が、わかりますね。


この林道の先は、もう山梨です。そこには、山高神代桜という、老木が待っています。



天気はすっかり晴れ上がり、青空に、やはり街の桜とは一味違う、眩いほどの桜並木が、続きます。



まさに春爛漫。真冬から一転。うららかな天気です。

気を良くして、白州尾白川渓谷に踏み込みます。


おそろしく澄んだ渓谷です。

この水で、サントリーは白州というウイスキーを仕込みます。

試飲もできますが、運転ができなくなりますから、グッと堪えて、川の水を口に含みます。


林道でひと汗かいた体に、じんわり染み込み。来てよかったな。とみなさまご満足いただけたようでした。


「咲けば綺麗だろうよ」に文句の出ない方は、ぜひ次回、またどなたか、お付き合いいただければ幸いです。


いないか。



 
 

Appia . meccanica - Shibata ~ Racing

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