水鏡のころ
- shibata racing
- 6月21日
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更新日:6月25日
勝手に梅雨明け宣言をしたところ、私の声が届いたように、気象庁が奄美地方の梅雨明けを宣言しました。なにやら例年より10日ほど早いとか。いよいよ関東もくるかぁ。

2025年6月21日
里では、各地で水鏡が出現し始めました。今朝ほども用水の点検や、ポンプの設置をされている方々が。何か合図があるんですかね。少し山に入った地域では、すでに稲が植えられています。この一瞬ですが、朝晩とか、絵になるんですよね。
写真で面白みがあるといえば、やはり棚田の近くですね。米どころの新潟県、十日町の星峠の棚田などは有名で。雨が上がった早朝。霧がかかった星峠は雲海のように。その所々で、水鏡のような水田が。

富山に荘川という地方があるのですが、夕方少し高台から見下ろすと、水田の所々に農家さんの家が点在し、まるで海の上のような景色が現れるのも、この季節。私は一度だけこの季節の荘川へ行ったことがあります。これを人呼んで散居村といいます。
その写真はどこだ?ですよね本当なら近所の田んぼじゃない風景が見たいですよね。まぁそういう時に、写真がないんですよね。その時はフィルムカメラで、まともに写らなかったんです。しかもモノクロ入れてて。いわゆる露出の読み間違い、そして予期せぬシュチュエーション、でした。
荘川の上流には白川郷があります、その時は飛騨高山から天生峠という峠を越えました。私にとってはこの天生峠はことのほか重要です。なにが。ここは、泉鏡花の「高野聖」の舞台となった峠です。一節では、ここアモウ峠ではなくて、アボウ峠の間違いだった。とも言われますが。

薄暗い峠の先に、いきなり真っ白な白山が正面に現れて、小説の舞台としてはこれほどおあつらえ向きの場所もないでしょう。そこから細い下り道を降り切ったところが白川郷。「来たなぁ」と感動していた矢先。村の入り口には高速のインターチェンジが。次々観光バスが雪崩のようにやってきます。
私の高野聖の神秘は一瞬で砕け散った。というお話でした。

「写真に写った風景よりも、写せなかった風景の方が印象に残っている」という話がありますが。機材を持ってこなかったからこそ、より真剣に観るのでしょうね。こうなると、むしろ写真を忘れた方が良くないか?
なかなか、そういう度胸がまだないんですよね。
