苦いものでもない
- shibata racing

- 7月25日
- 読了時間: 6分

最近驚くことに、お客さんがたのコーヒーに対する反応が良い。
以前から言っているんですけど、当店のシバタコーヒーは無料で提供されているわけです。ただ、この無料には、その後工賃を10万円請求されたりするから、一杯10万円のコーヒーといえるかもしれない。
ただこうなると、出す側にしても、それなりの覚悟でだしているので、当然美味しくなくちゃ渡世の義理がたたないから、私はいつでも真剣で。その時考えられる最高水準と考えるものを飲んでいただくようにしている。
不思議なもので、こういうふうに一杯入魂みたいなものは、必ず相手にも伝わるようで、これを飲む方々が、一様にコーヒーに対する興味が湧くようだ。
まずは浅煎りを出す。
するとまぁみなさんびっくりする「なんですかいったいこれは?」という反応をする。
それもそもはず、多くの一般の方々にとって浅煎りコーヒーというものはほとんど未体験だ。いわば触れる機会がそうそうないわけだから、初めての体験をここでする。
当然拒否反応が起きると思って私は提供するのだけれど。これが不思議なもので、一応に皆様の反応がポジティブだ。これはシバタのせっかくの好意を無にしてはダメだからという忖度ではない。と感じる。つまりはみなさままんざらでもない。
ここで器を替える。これは味が混ざるからではなくて、口の広さや、開きの角度で、浅煎りの香りはヒラキ。またそれは深煎りには適さなかったりするから面白い。ここでは白薩摩が最も綺麗にその色を映すと私は考える。
その次に、口の狭い器で、いわゆる深煎りコーヒーというものを飲んでいただくと、みなさまやはり、ホッとするらしく「これは珈琲ですよ、いつものやつですよ」と安堵するが、しかし待てよと考える。ガッチリ深いのだけれどなんでか苦くない。これを不思議に思うようで、なんでですか?と質問してくる。
そこで私はタネを明かす。
このいわゆる苦さの原因を教える。その真逆。苦くならないように努力しているから、このような味になるのだと説明する。
当然、やはり従来型のコーヒーが好きだろう?聞くと。これが不思議なことに、浅煎りというものにみなさまが、好印象を持ってくれていることに、我ながら驚いてしまう。
私自身がこの異次元のコーヒーを受け入れるまでにそれなりの時間がかかったのに、お客さん方はものすごいことに、一杯目から悪くない反応をくれる。これはほとんど例外なしだった。
あるお客さんは、次に来た時。普通の深煎りをのませたら、「あれ、この間のと違うじゃないですか」といきなり反応する。不機嫌なのでもう一回浅煎りを淹れ直すと「これですよコレ」と上機嫌になるではないか。
これに驚くのは私の方で。「なんだかみんなの反応ナウいな」という感想だ。
要は、私などよりはるかにお客さんたちの方が流行に敏感で、新しいものに飢えているのだとこちら側が教えられた。
というように、みなさん良い反応だから、結構家でもコーヒーを楽しむのかと聞くと、結構適当にこの飲み物と向き合っているという事実に少し驚き。結果的には、目醒めていなかっただけだっとということがよくわかる。
では、どうしてこうなっているのかということを考えると。
いわゆる浅煎りコーヒー屋の敷居が高いところが原因だろう。
まずその一。そこいらにこういう店が無い。
その二。たとえあっても一杯が法外に高い。
その三。ちょっと怖すぎて近寄れない。
という三つが主な理由になる。
私も、この手の店の、まず豆の産地や客の好みを聞こうとする接客には「ちょっと待て」と思ってしまう。
誰もそんなことわからないけどちょっと興味あるから寄っただけで、アナエロだとかナチュラルだとかウオッシュド。なんて。
そんな言語が当たり前だと思ってもらっても困る。
サービス担当は上からの指示で店のイメージ戦略としてオペレーショントレーニングを受けている。しかし、そのトレーナーが世界を見すぎて、視線が上にありすぎると思うのは考えすぎだろうか?善良で悪気などはいちミリもないから余計に一般人との距離がひらく。
私などはそもそも厚かましいので、こういう接客を散々されるたび。
「もうねぇギューんみたいな、バッチバッチみたいな浅煎りください」とかいうと逆に
「なんですかそれ」みたいな困った顔をされる。「ミルの刃が砕ける様なやつで」と追い討ちをかける。
すると、向こうが適当に選ぶのだが、この傾向は、店側が飲ませたいもの、ある程度単価が高いもの。
という店側の都合を押し付けられる場合がある様に感じられる。おまかせしたのは私だから、なに言われても料金は支払うが。
「はい2000円です」といわれても、一般人にはそもそも価格の意味がわからない。
と、一杯10万円のコーヒーを出している私がいうことでも無いだろうが。
ただだよ、誰もコーヒー屋で、私のような他流試合がしたいわけでは無いだろうから、そんな気の小さい初心者も大事にしてください。とお願いしたい。
コーヒーをワインと考えてみるとわかりやすい。
ワインには大別すると赤と白がある。
この味の傾向ははっきり分かれていて、意外なほどに、両者がそれなりの意見を持っている。世に言われる肉には赤、魚には白。という理屈とは違い。赤が好きな人は、基本白は嫌いか、飲まない。というレベルだ。
これをコーヒーに当てはめると、深煎りファンと浅煎りファンにもこれくらいの溝があるから、世間的にスーパーで売られているコーヒーは中道を行っている場合が非常に多い。昔流行ったロゼワインみたいなやつだ。
このどっちつかず感。
一番売れそうなものを並べる意識が、真のファンが育つ土壌を曖昧なものにしてしまっていると感じるのは私の独りよがりだろうか?
では、ここいらで少しコーヒーに興味が出てきた方々に、最も基本的なコーヒーとの関わり方を提案しよう。
まずは、コーヒー豆を買ってくる。これは粉で当然良い。
袋の注意書きを読むと。この豆をナングラム使用して、ナンシーシーのお湯を注げば理想的か。という記述が必ずあることに注意していただきたい。
これはいわゆるメーカー推奨レシピだ。
そしてひとまず、カリタか、ハリオの一番安くて購入しやすいドリッパーを買ってくる。
当然、それ用のペーパーも買う。これは一番買いやすいやつを買えば良い。
そうしたら、一応粉は測って、お湯も適量注いでみる。
注ぎ方に関しては色々あるので、まぁ適当に、三回くらいに分けて、丁寧にお湯を注いでみる。
「おいしくなあれ」と呪文を唱えれば、尚良い。出来上がったら飲んでみる。
どうですか?マズイですか。
近所のお店の方が美味しいですか?
もし自分で淹れたものが美味しい場合。
もう近所のミズみたいなコーヒーを紙コップに入れて600円も取る様な店には金輪際いかなくて良い。
これこそが、おうち珈琲の目覚めだ。
もうあなたは珈琲ファンの一ページを開いてしまった。もうここからは楽しくなっていく一方だ。
ひとまず千円投資して始めてみてください。道具と豆を買ってみるのです。
多分、苦いだけじゃない。珈琲の奥深さが見えはじめるかもよ。
そして時々はシバタ珈琲を飲んでみて、最近のトレンドを知り、10万円ですといわれてみる....。


