錦秋の風景25'
- shibata racing

- 10月30日
- 読了時間: 3分
更新日:11月5日
隣の人のことを考えている場合でもなく。秋は一気に深まり足早に過ぎてゆきます。こうなるとうかうかしていられません。今年はどんな秋の風景に出会えたのでしょうか。

2025年10月30日
里はまだ少し早い感じなのですが、標高が高いところでは、今年も紅葉が始まったようです。
猛暑によって多くの木々が色づく前に、早々と葉を落とし。今年はあまり期待できないんじゃないかと考えていたのですが。そこは流石に、綺麗なところはやはりそのようで。今年もそろそろ皆様も紅葉狩りの準備はよろしいでしょうか。

軽井沢在住を謳っている私といたしましては、やはり近所を散歩して、里より5度低い気温が演出した山の落葉樹の彩を、みなさまに見ていただく必要があるでしょう。
今年は春先から、嫌というほど私の軽井沢のことは紹介していますが、秋の彩りはまた格別です。
本日は、「水源地の道」を散歩してみましょう。ひと足早く秋の盛りをお届けします。

この道の始まりは、レイモンドの教会の、水車の道から枝分かれし、左に上がると、わりと険しく高度を上げて、愛宕上水道。というエリアに向かって伸びています。
この道の途中には、かつて堀辰雄の最初の別荘が建っていて、別名「山の家」と呼ばれていました。
その道の序盤には、すでに何度か紹介しました、「楡の家」のモデルとなった、片山紘子別荘というものが現在でも建っています。
この道周辺を舞台にしたエッセイが「美しい村」という名の素晴らしい堀辰雄の小説です。
毎日のように、ここをふらふらしながら、見かけた人などのことが綴られ、堀の最初の婚約者になる、絵描きの少女なども登場します。
みちゆきには、灯台躑躅なども咲いていて、鮮烈な赤が、苔に覆われた緑の風景の中の小粋なアクセントになっていたりします。


この散歩道は、水源地まで行くとヘヤピンのようなカーブを経て、矢ヶ崎川に沿って降り込み、二手橋まで戻ってくる風光明媚な林道です。
普段ここを通る車などはほぼ皆無で、歩く人もいません。
今月、熊が出没したことを知らせる注意看板などが、少し緊張を促します。鈴持ってこなかったなぁ。
この熊との共存については、私はひとことあり。もともと居るんですから、それは日本の自然の摂理です。彼らも生きなきゃいけない。我々もそのエリアに入って、自然を享受したい。なんでも駆除じゃぁないんですよ。
日本狼のことを考えると、いなくなったものを取り戻すのは容易ではないという事実を、肝に銘じなきゃいけません。
「ここにいるよ」と伝えて、熊に合図をする。互いに安全に生きるためでしょう。

山の上は、今が錦秋の候といった状態で、ギリギリ今週末までか?という印象でした。
この辺りの風景は、まさに、小説「美しい村」に描かれている気配を、いまだに色濃く感じさせてくれるでしょう。興味がある方は読んでみてください。
朝晩の猛烈な冷え込みと、日中の寒暖差が、やはり鮮度の高い赤が現れるエッセンスです。
この紅色だけは、やはり里ではなかなか見ることはできませんよね。
3年前のことですが、ちょうど今の時期に、同じ場所を訪ねた時の様子です。今週末まではこんな感じの風景が見られることでしょう。
皆様も今年の秋を、存分にお楽しみください。



